コロナ禍で普及した在宅勤務から、オフィスへの出社に回帰する流れのなか、リモートワークとオフィスワークの利点を兼ね備えた「サテライトオフィス」を導入する企業も増えています。
離職率の改善や優秀な人材の確保、通勤時間やオフィスコストの削減など、様々なメリットが挙げられるオフィス形態です。
一方で、導入を検討する際気になるのは、サテライトオフィス開業にかかる費用です。
この記事では、サテライトオフィスの初期費用やランニングコストの相場や、導入のメリットや開設費用を抑えるポイントまで、わかりやすく解説します。
サテライトオフィスとは？
サテライトオフィスとは、本社から離れた場所に設けられた“分散型オフィス”を指す言葉です。一般的に、リモートワークが可能な設備を備えたワークスペースとして活用されています。
支社や営業所と違い、サテライトオフィスの開設に登記はいりません。顧客企業の多い都市部では、営業担当者の移動時間を短縮しながら、作業スペースも確保できる営業拠点としてサテライトオフィスを設置するケースもあります。
サテライトオフィスの費用を検討する場合、まず確認したいのはオフィスの形態です。
自社でオフィス物件を借り、設備や通信設備を整える場合、立地や内装の自由度が高い反面、初期費用やランニングコストは大きくなります。
レンタルオフィスやコワーキングスペースを活用する場合、初期費用やランニングコストは大きく抑えられますが、設備の使いやすさやセキュリティ対策は施設によって異なります。
導入する目的や利用頻度に応じて、最適なオフィスを選ぶことが大切です。
サテライトオフィスの費用相場
サテライトオフィスの開設にかかる費用は、主に以下のような項目で構成されます。
- 賃料・共益費：立地によって大きく変動します。都心よりも郊外や地方は割安です。
- 通信・ネットワーク設備：リモートワークやWeb会議が必要な業種では、安全で快適な通信環境が求められます。
- 家具・什器・OA機器：デスクや椅子、複合機など。
- セキュリティ関連：入退室管理、監視カメラ、データセキュリティ対策など。
- 管理・清掃費：日常的な清掃や設備点検にかかる費用。
自社で拠点を開設する場合、オフィス物件の敷金や礼金、内装工事費のほか、通信設備の設置費用やオフィス家具の購入等の初期費用がかかります。
大阪梅田や神戸三宮など多数の企業が集まるビジネス街で、5人程が利用できる15坪ほどのオフィスを借りる場合、共益費含む平均坪単価は1万5,000円前後が相場です。
立地条件により大きく異なりますが、敷金や内装工事等含む初期費用は200万円〜500万円、賃料は20万円〜50万円が費用の目安となり、水道光熱費や通信費などランニングコストも発生します。
一方、シェアオフィスやレンタルオフィスを利用する場合、サテライトオフィス開設に必要な初期費用は大幅に抑えられます。
多くの施設は入会金と初月利用料のみで利用できるため、一人あたり１万円〜10万円ほどが初期費用の目安です。
専用デスクや個室のほか、電源やWi-Fi等の設備が整ったコワーキングスペースを必要な時だけ借りられる上、光熱費や通信費、清掃費、セキュリティなどすべて込みの料金プランが多く、コストを把握しやすい点も魅力です。
サテライトオフィスの費用を抑える３つの方法
- 1. シェアオフィスやレンタルオフィスを活用する
自社で開設するよりも初期費用を大幅に削減できます。リモートワークが可能な設備を即日利用できる点も魅力です。 - 2. 補助金・助成金を活用する
自治体や条件によっては、テレワークや地方拠点整備に対する助成制度が利用できます。 - 3. 柔軟な契約プランから始める
まずは小規模・短期間のサテライトオフィス運用から始めて、自社の課題解決につながる活用方法を検討しましょう。
サテライトオフィスを開設するメリットは？
サテライトオフィスは、多様な働き方が可能な社会を目指す「働き方改革」の一環として、在宅勤務やモバイルワークとともに、積極的な導入が推奨されてきたオフィス形態です。
育児や介護との両立など、多様化する働き方のニーズに応えるサテライトオフィスの導入は、企業と従業員の双方にメリットがあります。企業の成長を支える投資のひとつとして、戦略的に活用しましょう。
- 通勤時間の削減：通勤に便利な場所に開設することで、通勤にかかるコストと負担を軽減できます。
- 生産性の向上：リモートワーク中も、自宅以上に集中できる環境を提供することで、企業全体の生産性向上が期待できます。
- 営業拠点の確保：企業の集まるエリアのサテライトオフィスは、取引先との中継地点や打ち合わせ場所としても活用できます。
- 人材の確保と離職防止：柔軟な働き方を提供することで、優秀な人材の確保や定着、離職防止にもつながります。
- 災害・感染症時のリスク分散（BCP対策）：自然災害や感染症の蔓延など不測の事態が発生しても事業を継続できるBCP対策の一環としても有効です。
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