WEB会議増加で会議室の取り合い

 12月17日、シェアオフィス・コワーキングスペース「WORKING SWITCH ELK」で、セミナー「これからのオフィスのあるべき姿」が開催されました。ELKでのセミナー開催は3回目となりますが、自身で主催するのは今回が初めてです。
 セミナーは3部構成。第1部はシェアオフィスの企画・運営代行業務を手がけるReqreeの髙室直樹社長が、これからの時代に求められるワークプレイスのあり方について講演しました。
 高室社長は「デスクトップパソコンからノートパソコンへ、書類での情報管理からクラウドへの保存へ、という変化の中で、オフィスが有する3つの機能のうち『ワーク』『ストック』の2つはオフィスでなくても果たせるようになりました。残る機能はコミュニケーションですが、これもメールやチャット、WEB会議など様々なコミュニケーションツールがある中で、重要な商談や最終面接など、限られたものしかオフィスで行う必要がなくなっています」とオフィスが果たす役割・機能の急速な変化を指摘しました。
 また「こうした変化は新型コロナの拡大によるものと認識されていますが、根底にあるのはデジタル化の加速です。コロナが無くてもいずれは変化したでしょうし、コロナが収束しても元の働き方・オフィスニーズに戻ることはないでしょう」との考えを示しました。
 さらに、そうした働き方の変化に伴い、WEB会議のために周囲の音や背景が気にならない環境を求めて、従業員が会議室を使いたがるケースが増え、本来必要な会議を行う場所が不足しているといった問題点について述べ、こうしたニーズに対応するために、ビルの中には共用部にオンラインミーティング用のフォンブースやコワーキングスペースを設けるところも出てきている現状を紹介。関電不動産開発が来年1月より開始する、関電不動産開発梅田新道ビルの賃借者がビル内のシェアオフィス・コワーキングスペース「WORKING SWITCH ELK」を無料で利用できる新プランのような、新たなビルの使い方がこれからの企業には必要との認識を示しました。
 

6割以上が「オフィス以外の場所での働き方」推進

 第2部は、関電不動産開発内田博司執行役員の「これからのオフィスのあるべき姿 アンケートから見る賃貸テナントの動向」。同社が12月1日から企業に対して実施している、新型コロナによる働き方やオフィス機能の変化についてのアンケート調査の途中経過を発表しました。
 12月13日時点で回答が寄せられている154人のうち、「在宅勤務の導入・拡充を行った」のは53%、「在宅以外のリモートワークの導入・拡充」を行ったのは10%と、6割以上が働き方の変化があったと回答しています。また33%がオフィスのレイアウト変更を、12%が縮小を、8%が拡大を「実施または検討中」と回答しており、オフィス空間そのものも変化しています。
 さらに、「オフィスに求める環境」では「WEB会議などへの対応」が89%、「オフィス空間に欲しい物」では「フォンブース」が71%、「個室または集中できる環境」が59%となっており、社内のコミュニケーション活性化が求められている中でも、静かに集中できる環境が必要と考える企業が多い結果となっています。

 「機能性と創造性の両立」が重要

 第3部は、オフィスや店舗などの内装デザイン会社であるスペースの水田智也氏が、「カフェの様なコミュニケーション空間を取り入れたオフィス」「木材や植栽を多用したオフィス」「WEB会議の増加に対応したオフィス」「ホテルのラウンジを思わせる社員食堂」など、同社が手がけた時代のニーズに合ったオフィス設計の事例を紹介しました。
 「パソコン画面の前に座っているだけではアイデアは生まれません。今のオフィスに求められるのは機能性と創造性の両立です。『そこに行きたくなる』『行くことでモチベーションが上がる』空間であることが重要です」と語る水田氏。一例として、同社福岡本部の新オフィスで設けられた、デスクワーク環境から離れた空間で思考を切り替えたり、コミュニケーションを生み出したりする場である「Switch Area」を紹介しました。社内コワーキングスペースともいえるこの空間は、従業員のためだけでなく、レセプションやパーティー、取引先の展示会など外部の人を招く場や、地元の学生のワークショップや卒業制作展の場としても活用されるなど、街の一部としての役割を果たしているそうです。
 水田氏は「コロナ禍で、人と人が直接顔を合わせることの大切さを改めて実感した人も多いかと思います。在宅勤務が珍しくなくなったいまだからこそ、オフィス空間が絶対に必要です」と締めくくりました。
セミナー後には、コミュニティマネジャーの案内で、「WORKING SWITCH ELK」のコワーキングスペースやシェアオフィスゾーン見学するツアーも行われました。