働き方が多様化するなか、個人事業主やフリーランスとして活躍する方も増え、レンタルオフィスやシェアオフィス、コワーキングスペースなど、自営業向けのオフィスも幅広い選択肢から選べるようになりました。
この記事では、多くの個人事業主が自宅とは別にオフィスを構える理由や、個人事業者向けのオフィスサービスの種類について、詳しくご説明します。
個人事業主にオフィスが必要な理由とは
法人を設立せず、個人で事業を営む方を個人事業主といいます。
個人事業主になるためには、複雑な手続きはいりません。税務署へ開業届を提出すれば、個人事業主として事業を開始できます。賃貸オフィスを借りず、自宅を事業用の住所とすることも可能です。
それでも多くの個人事業主が、事務所やオフィスを構えたり、事業用の住所を用意したりと、自宅とは別のオフィスを活用することには、いくつかの大きな理由があります。
まず、仕事とプライベートの区別が難しくなるという問題です。
コロナ禍で浸透したリモートワークが縮小し、再びオフィスへの出社を促す流れが加速した理由として、自宅で仕事に集中することの難しさが挙げられます。
現在在宅で仕事をしている個人事業主やフリーランスも、子育てや介護などライフステージの変化によって、オンオフの切り替えが難しくなることも珍しくありません。
自宅兼事務所は、プライバシーやセキュリティ面でも課題があります。
自宅の住所を事業用の住所として登録した場合、名刺やウェブサイトに個人の居留地を記載することになります。プライバシーや防犯面での懸念はもちろん、事業の信用にも関わります。
賃貸物件や分譲マンションにお住まいの方は、とくに注意が必要です。
住居用と事業用の物件は賃貸側の税負担が異なり、事業用の住所とした場合は所有者の税金が重くなる可能性があります。
契約や管理規約で、住居以外の用途での使用が制限されている場合、契約違反として退去を求められる、あるいは家賃を値上げされることも考えられます。のちのトラブルを避けるためにも、事前に確認を取ってから開業届を提出しましょう。
自宅を事務所とした場合、確定申告の計算が複雑になりやすいことも課題です。
事業に関する家賃や光熱費は一部経費にできますが、事業割合の根拠が不明瞭な場合、経費を否認されることもあります。経費計上の手間が省けることも、オフィス利用のメリットといえるでしょう。
個人事業主におすすめのオフィスは？
個人事業主が選ぶオフィスとしては、賃貸事務所、レンタルオフィス、バーチャルオフィス等が挙げられます。それぞれの違いを把握して、自分にあったオフィスを選ぶことが大切です。
賃貸事務所
個人事業主やフリーランスなど、自営業者であっても賃貸事務所は借りられます。
すでに事業実態があり、無理のない家賃の物件であれば審査もスムーズです。不動産審査では、確定申告書や納税証明書、事業内容を説明できる資料などの提出を求められることも多いので、あらかじめ準備しておきましょう。
自由度の高いオフィススペースを確保できる分、敷金や礼金、整備投資などの初期費用や、家賃や光熱費などランニングコストは高くなります。安定した収入のある個人事業主におすすめの選択肢と言えるでしょう。
レンタルオフィス・シェアオフィス
レンタルオフィスやシェアオフィスなど、月額制で借りられるオフィスサービスは、個人事業主やフリーランスに適した選択肢です。
煩雑な手続きは不要で、ビジネスに必要なオフィス家具やOA機器、通信インフラなどはあらかじめ整っているため、初期費用や固定費を抑えながら、すぐに事業に取り組めます。
多くのレンタルオフィスは、法人登記や住所利用にも対応しています。立地条件はもちろん、利用できる設備やサービス、オフィスの内装は施設によって大きく異なるので、事前の内覧でしっかり確認しておきましょう。
コワーキングスペース
コワーキングスペースは、複数の企業や個人事業主がひとつのワークスペースシェアするオフィスサービスです。レンタルオフィスと同じくビジネスに必要な設備は整っている上、ドロップイン（時間利用）、月額制の会員利用などプランも豊富で、他のオフィスサービスに比べて格段に安く抑えられます。
オープンスペース以外に、個別ブースや会議室を利用できる施設もあります。自宅では作業に集中しにくい方や、異業種との交流の機会を得たい方にも適したオフィス形態です。
バーチャルオフィス
物理的なオフィスが不要でも、法人登記や郵便物の受け取りに使う事業用の住所が必要な場合は、バーチャルオフィスの利用も有力な選択肢です。
バーチャルオフィスの住所は、事業所として税務署への開業届や納税地として記載できます。郵便物の受付や転送、宅配便の受け取りなど、自宅での開業が難しい個人事業主にとって嬉しいサービスが利用できる施設もあります。
ほとんどのバーチャルオフィスは都市部の一等地の住所を借りられるため、顧客や取引先の信用が重要な業種や、特定商取引法で住所の表示義務があるネットショップの運営などを行っている個人事業主の方にもおすすめです。
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