個人事業主やフリーランスのなかには、どのくらいの年収で法人化するべきか悩んでいる人もいるのではないでしょうか。
この記事では、個人事業主やフリーランスが法人化を考えるべき年収の目安や、ベストなタイミングなどを解説します。

法人化する目安は「所得800万円以上」

法人化する目安は「所得800万円以上」

法人化する年収ラインは、所得税と法人税のどちらが税金負担を減らせるかという観点で考えます。

一般的に法人化する目安は、年間所得800万円以上だと言われています。

個人事業主やフリーランスでは、それぞれ納めるべき税金の種類と税率が異なります。

法人にかかる税金は法人税・事業税・住民税ですが、その税率は、以下の通りです。

年間所得 法人税 事業税 住民税
400万円以下 15% 5% 2.59%
400万円超
800万円以下
15% 7.3% 2.59%
800万円超 25.5% 9.6% 4.41%

法人税・事業税・住民税すべてを合算した表面税率は、年間所得400万円以下の法人で22.59%、年間所得400万円から800万円までの法人で24.89%、800万円以上の法人で39.51%という3段階しかありません。

対して、個人事業主やフリーランスにかかる所得税の税率は、所得に応じて以下の7段階に分かれています。

課税される所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円から330万円以下 10% 97,500円
330万円から695万円以下 20% 427,500円
695万円から900万円以下 23% 636,000円
900万円から1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円から4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円以上 45% 4,796,000円

個人事業主やフリーランスにかかる住民税の所得割は一律10%なので、上記に10%をプラスした税率が、個人事業主の表面税率です。

法人の場合は所得800万円以上になると税率が一律になり、最大でも39.51%ですが、個人事業主やフリーランスは所得が増えるほど税率が上がる累進課税で、最大で55%(所得税45%、住民税10%)まで課税されます。

所得が900万円を超えると税率は43%(所得税23%、住民税10%)となり、法人の税率を超えてしまうため、所得800万円程度を目安として、それ以上所得が増えるようなら法人化したほうが税負担を減らすことができるのです。

また、「年収1,000万円を超えたら法人化すべき」という話を耳にしたことがある方もいるかもしれません。800万円なのか1,000万円なのか混乱してしまうかもしれませんが、年収と所得の違いを理解しておけば迷うことはないでしょう。

通常、年収1,000万円の個人事業主やフリーランスの場合、そこから経費や各種所得控除を差し引いた金額が所得となります。年収1,000万円でも、経費や所得控除が200万円あれば、所得は800万円になるのです。

経費や所得控除の金額は人によって異なるので、目安にするのは年収ではなく、あくまでも所得額で考えるようにしましょう。

インボイス制度導入で法人化のベストなタイミングは変わる

「年収1,000万円を超えたら法人化すべき」と言われるのには、もう一つ理由があります。
それは、個人事業主やフリーランスであっても、売上が年間1,000万円を超えると、翌々年から消費税の納税義務が発生するからです。

これまでは免税事業者だった個人事業主やフリーランスも、消費税の納税をしなければならなくなります。
例えば、これまでは100,000円の売上に対して税込110,000円で計上していた場合、今後は売上と消費税を分けて計上しなければならず、売上が下がる可能性が高いでしょう。
また、消費税は年1回、翌3月31日までに確定申告が必要なため、事務手続きの負担も増えることになります。

しかし、法人化することで設立後2年間は消費税の納税義務が免除されます。
つまり、1,000万円を超えたタイミングで法人化すると、2年間は消費税の負担を減らすことができるので、大きな節税対策につながるのです。

しかし、インボイス制度導入によって、法人化のベストなタイミングは変わってきています。
インボイス制度導入後は、年収1,000万円以下の個人事業主でも適格請求書の発行を求められる可能性があり、課税事業者としての登録を余儀なくされることが考えられます。

インボイス制度が個人事業主やフリーランスへの影響をどう与えるのかは、以下の記事で詳しく説明しているので参考にしてください。
※「インボイス制度で個人事業主の廃業が増えるってホント?気になる理由や対策を解説

法人化すると年収はどうなる?社長の給与設定について

法人化すると年収はどうなる?社長の給与設定について

個人事業主やフリーランスが法人化した後は、社長として会社から役員報酬を受け取ることになります。

役員報酬は会社の経費として計上することができますが、法人税法では、役員報酬の増減による利益調整を禁じています。
そのため、役員報酬を経費計上する場合は、会社の業績に関係なく、毎月同じ時期に同じ金額を支給する「定期同額」でなければいけません。

売上が良かった月は役員報酬を増やすなど、業績に応じて増減することも可能ではあるものの、会社の経費として認められないだけではなく、社長個人の所得として所得税や住民税がかかります。
税金対策になるどころか税負担が増えることになり兼ねないため、注意する必要があるでしょう。

また、個人事業主やフリーランスが法人化した後、役員報酬を高額に設定して経費とすれば、法人税等の負担を抑えることができます。
しかし、社長個人の所得には所得税や住民税、社会保険料などがかかり、所得額に応じて負担も大きくなります。

そのため、法人化したあとの役員報酬額は、会社の税金と個人の税金のバランスを考えて、慎重に決めることが大切です。

法人を設立する

まずは法人を設立しなければいけません。
法人設立に必要なものは、以下の通りです。

  • 登記申請書(社名(商号)
  • 本店所在地(住所)などを記載)
  • 登録免許税納付用台紙(収入印紙を貼付)
  • 定款(絶対的記載事項、相対的記載事項などを記載したもの)
  • 発起人の決定書
  • 設立時取締役の就任承諾書
  • 設立時代取締役の就任承諾書
  • 設立時取締役の印鑑証明書
  • 払込証明書
  • 印鑑届出書
  • 法人印
  • 銀行口座

法人登記する際の本店所在地は、自宅の住所を使用しても問題はありません。
しかし、プライバシーや社会的信用度を考慮して、自宅の住所を使用するのは避けたいと考える個人事業主やフリーランスも多いです。

その場合、法人化する際の住所は、登記住所利用が可能なシェアオフィスやコワーキングスペースなどのオフィスサービスを利用すると良いでしょう。

個人事業主やフリーランスが一人で会社を設立する方法は、以下の記事で詳しく説明しているので、参考にしてください。
※「一人で会社を作る手順を分かりやすく解説!形態や条件、費用を安く抑えるコツも

個人事業の廃業

個人事業主やフリーランスが法人化をする場合は、法人設立後に個人事業の廃業手続きを行いましょう。

個人事業と法人事業がまったく異なる場合は併用できますが、同じ事業の場合は利益相反とみなされて会社法違反となるので注意が必要です。

個人事業の廃業手続きは、以下の書類を作成し、管轄の税務署・都道府県税事務所で行います。

  • 個人事業の廃業等届出書
  • 給与支払事務所等の廃止届提出書(1ヶ月以内に提出)
  • 所得税の青色申告の取りやめ届出書(翌年3月15日までに提出)
  • 事業廃止届出書(速やかに)
  • 事業廃止等申告書(10日以内)

資産・契約関連の引き継ぎ

次に、個人事業から法人へと、資産・契約関連の引継ぎを行います。

以下のような資産は、法人化後も引き継ぐことが可能です。

  • 土地・建物
  • 棚卸資産
  • 売掛金
  • 固定資産など

また、以下のような契約や名義の変更が必要となるでしょう。

  • 銀行口座の名義
  • 借入金の契約
  • 取引先との契約
  • 賃貸借契約の名義

法人化に適したタイミングは人によって違う!費用を抑えて会社設立しよう

法人化に適したタイミングは人によって違う!費用を抑えて会社設立しよう

個人事業主やフリーランスが法人化を検討すべき目安となる所得は800万円以上です。
経費計上や各種所得控除が行われることを考慮すると、年収で言えば1,000万円程度が目安となるでしょう。

しかし、インボイス制度の導入などによって、法人化に適したタイミングは変化しています。
年収や所得の金額だけにとらわれるのではなく、取引先の状況を確認しながら、自分にとってベストなタイミングで法人化を検討するようにしましょう。

個人事業主やフリーランスの法人化には、費用がかかります。
法人設立にかかる登録免許税だけでも、株式会社の場合15万円、合同会社の場合は6万円です。
また、賃貸オフィス契約をするとなるとさらに初期費用がかさむため、シェアオフィスやコワーキングスペースなどのオフィスサービスを上手に活用して費用を抑えるのがおすすめです。

大阪・堂島にある「WORKING SWITCH ELK(エルク)」は、法人登記・住所利用もできるオフィスサービスです。
京阪・大阪メトロ御堂筋線淀屋橋駅から徒歩4分という立地にあり、社会的信用度向上を目的とした法人化にもぴったりです。

施設内は、契約内容によって専用オフィスとして使える個室や専用デスク席、フリーアドレス形式のコワーキングスペースがあり、用途に合わせて利用できます。
またコワーキングスペースで法人登記・住所利用が可能なプランなど、用途に応じてさまざまなプランをご契約いただくことが可能です。

法人化をする際のオフィスをお考えの方は、ぜひお気軽にエルクまでお問い合わせください。