近年、個人事業主・フリーランスが「マイクロ法人」を設立するケースが増えています。
この記事では、マイクロ法人とは何か、メリット・デメリットや作り方などを紹介します。
マイクロ法人とは
マイクロ法人とは、従業員や株主が存在せず、社長のみが在籍する法人のことを指します。
通常、個人事業主の法人化(法人成り)は、事業拡大や信用度向上を目的として行われるケースが多いですが、マイクロ法人は、個人事業主やフリーランスが、税金や社会保険料を節約する目的で設立する場合がほとんどです。
そのため、従業員を雇うことはなく、社長である個人事業主やフリーランスが一人でできる範囲で事業を行い、経理や税務、法務まで、すべて自分で担うことになります。
個人事業主との違い
一人で事業を行うという点において、マイクロ法人と個人事業主に違いはありません。
仕事内容についても、さほど変わらないケースが多いでしょう。
マイクロ法人と個人事業主の大きな違いは、税金や社会保険の仕組みです。
個人事業主が法人化(法人成り)をすることで、税金や社会保険料の負担を軽減できる可能性があります。
また、マイクロ法人と個人事業主とを併用することも可能です。
ただし、まったく同じ事業形態で2つを併用すると、個人事業で得た収益を法人に分散させているとみなされ、まとめて課税をされる可能性があります。
マイクロ法人を設立した後、個人事業主としても事業を行う場合は、事業が異なることを明確に証明できる状態にしておくことが重要です。
サラリーマンも設立可能
マイクロ法人は、サラリーマンの副業でも設立可能です。
ただし、副業禁止の会社で働いているサラリーマンの場合、勤務先との労働契約に違反する可能性があるので、注意しなければいけません。
マイクロ法人のメリット
マイクロ法人の設立には、さまざまなメリットがあります。
ここからは、個人事業主やフリーランスがマイクロ法人化する主なメリットを4つ紹介します。
税金負担を抑えられる
個人事業主やフリーランスがマイクロ法人化することで、税金負担を抑えられるというメリットがあります。
個人事業主やフリーランスの場合、所得に対して課せられる所得税は累進課税のため、所得の高さに比例して税率が高くなります。
しかし、マイクロ法人に課せられるのは、所得税ではなく法人税です。
法人税は基本的に税率が一定のため、所得の多い個人事業主・フリーランスほど、法人化することで税金負担を抑えることができます。
また、個人事業主の場合、生計を同一にする家族に対して支払う給与は専従者給与となるため、所得の分散は認められません。
一方、マイクロ法人の場合は、生計を同一にする家族に対しても、役員報酬などを支払うことが可能です。
これにより所得分散効果が活用でき、1人当たりの税金負担を軽減できるというメリットがあります。
社会保険料を抑えられる
個人事業主やフリーランスは国民健康保険と国民年金に加入しますが、マイクロ法人を設立して役員になると、社会保険(健康保険・厚生年金)に切り替わります。
社会保険料の負担額は、マイクロ法人から社長個人に支払う役員報酬の額に応じて決定されます。
つまり、役員報酬を可能な限り少なくすることで、これまで支払っていた国民健康保険料、国民年金保険料よりも安くできるメリットもあるでしょう。
社会的信用を得られる
マイクロ法人を設立すると、代表取締役社長という肩書きを手に入れることができます。
社長の肩書きがあることで、個人事業主として事業を行うよりも、社会的信用が得られやすくなるでしょう。
大手企業のなかには、法人としか仕事をしないというところもあるため、マイクロ法人化することで、取引先が増える可能性があるかもしれません。
融資の審査に通りやすくなる
マイクロ法人のほうが、個人事業主よりも融資の審査に通りやすいというメリットもあります。
個人事業主よりも法人のほうが、社会的信用度と事業の信頼性が高くなるからです。
事業拡大や資金繰りのために融資を申し込む可能性があるのであれば、マイクロ法人化を検討するのも良いでしょう。
マイクロ法人のデメリット
マイクロ法人を設立するメリットは多いですが、もちろんデメリットもあります。
ここからは、マイクロ法人化する主なデメリットを紹介します。
法人設立に費用がかかる
マイクロ法人を設立するには、法人設立登記が必要です。
法人設立登記には、株式会社で少なくとも15万円、合同会社で少なくとも6万円の登録免許税がかかります。
さらに、定款の作成や認証を行ったり、登記手続きを司法書士に依頼する場合は報酬の支払も発生するため、株式会社の設立で20~40万円程度の費用がかかると考えておいたほうが良いでしょう。
決算業務が煩雑になる
個人事業主やフリーランスの場合、1年に1回確定申告をするだけで事務手続きが終わります。
比較的容易にできるため、自分で毎年確定申告をしていたという人も多いでしょう。
しかし、マイクロ法人は確定申告に加えて決算申告が追加されるため、個人事業主やフリーランスに比べて、決算業務は煩雑になります。
損益計算書、賃借対照表、株主資本等変動決算書といった決算報告書、勘定科目内訳明細書や法人事業概況説明書なども提出しなければならないため、費用はかかりますが、税理士や会計士などの専門家にサポートを依頼するのも一つの方法です。
銀行口座開設を断られる可能性も
マイクロ法人の設立では、法人用の銀行口座開設が必要です。
しかし、法人口座の開設は金融機関の審査が厳しいため、オフィスをもたないマイクロ法人の場合、自宅などの住所を法人所在地としてしまうと、実体がない会社と判断されて審査に落とされる可能性があります。
もちろん、オフィスの住所だけではなく、事業内容が不透明な場合も審査に落とされる可能性があるため、法人用の銀行口座開設には十分な準備が必要になるでしょう。
マイクロ法人の作り方
マイクロ法人の基本的な作り方は、以下の通りです。
- 1. 法人用の印鑑作成する
- 2. 定款を作成する
- 3. 定款の認証を行う
- 4. 資本金の払込、払込証明書を取得する
- 5. 登記書類を作成する
- 6. 登記申請をする
- 7. 登記簿謄本と印鑑証明書の受領
- 8. 各種行政手続きをする
マイクロ法人の設立登記が完了した後は、登記簿謄本を受領します。
それをもって、税務署(法人設立届・青色申告の承認申請書・給与支払事業所等の開設届書など)、年金事務所(社会保険手続き)などで手続きを進めましょう。
マイクロ法人で信頼を得るならオフィスを用意しよう
マイクロ法人を設立する際に、意外と問題になりやすいのが住所です。
個人事業主やフリーランスの場合、自宅の住所を名刺に記載して活動している方も多いです。
しかし、マイクロ法人の場合、せっかく法人化をしても自宅住所をそのまま使ってしまうと、社会的信用を得にくくなり、銀行口座開設の審査に落ちてしまう場合もあります。
特に、金融機関等に融資を申し込む可能性がある場合は、しっかりと実態のあるオフィスを用意したほうが、信用を得やすいと言えるでしょう。
大阪・堂島のマイクロ法人向けオフィスはエルクにご相談ください
大阪・堂島にある「WORKING SWITCH ELK(エルク)」は、京阪・大阪メトロ御堂筋線淀屋橋駅から徒歩4分のアクセスに優れた立地にあるオフィスサービスです。
シェアオフィスはもちろん、コワーキングスペース利用のみでも法人登記・住所利用ができるため、マイクロ法人の設立にぴったりです。
施設内にはマイクロ法人の専用オフィスとして活用できる個室をはじめ、個人事業主やフリーランスに適した専用デスク席、フリーアドレス形式のコワーキングスペースなどがあります。
用途や予算に応じて、必要なワークスペースを確保することができ、法人の所在地としても利用できるため、個人事業主やフリーランスのマイクロ法人化におすすめです。
マイクロ法人の設立をご検討の方は、ぜひエルクまでお気軽にご相談ください。