1月10日は成人の日でした。今年新成人になったのは2001年4月2日~2002年4月1日生まれの人たちです。毎年成人式の前後には、企業やシンクタンクが新成人を対象にした様々な意識調査を行っています。今回はそれらの調査の中から「働く」をテーマにしたものの結果を紹介します。
 

コロナの影響か?「地元で働きたい」が半数

 まず、サイボウズチームワーク創研が1月5日に発表した「新成人の理想の働き方についての意識調査」を見てみましょう。この調査は、今年度に20歳を迎える学生438人に対してインターネットを通じて昨年12月に実施しました。
 「社会人になったらどのような働きかたをしたいか」では「通勤・テレワークどちらも(ハイブリッド式)」が74.0%を占め、「通勤のみ」の19.4%、「テレワークのみ」の6.6%を大きく上回っています。また「ハイブリッド式」のうち、通勤・テレワークのスケージュルを「自分の裁量で選択可能」なのと「会社が指示する」とでは、前者を希望する人が、後者に比べて約1.5倍多くなっており、状況に応じて自由な働き方ができる環境を求めています。 
「どちらか一方の働き方に固定される」ことについては、「通勤のみ」の場合は「新型コロナへの感染」「時間や体力など通勤の負担」で不安を、「テレワークのみ」の場合は「他人とのコミュニケーション不足」「自身のコンディションの維持」「通信環境」などの面で不安を感じています。
 なお、「通勤のみ」を希望する新成人のうち、68.2%が「現在の学校の授業は対面のみ」であり、授業の状況が働く環境への希望にも大きく影響を与えていることが伺えます。
 「希望する働き場所」では「地元」が49.8%で最も多く、「東京」が30.8%、「地元・東京以外」が17.1%、「海外」が1.8%となっています。「若者は都会・海外志向」というイメージが強い中では意外な感じがします。なお、インターネットリサーチ会社のマクロミルが新成人を相手にした調査(1月5日発表:「2022年新成人に関する調査」)では「仕事で英語を使うこと」への関心は2020年から22年の間に10.6ポイント低下しています。このほか、留学・外国語習得・外国人と日本で働くことへの関心も近年は大きく低下しており、若者の海外に対する関心が薄れている傾向にあります。これについてマクロミルでは「コロナでの外出自粛が影響か」と分析しています。
 

Facebookの利用率はわずか7.8%

 最後にテレワークに不可欠なICT端末の保有状況やオンラインコミュニケーションツールの利用頻度についてみてみましょう。やはりマクロミルの調査からです。
 保有している率が最も高いICT端末はiPhoneで73.0%。ノートパソコンは71.4%が保有しています。ここ9年の間、iPhoneの保有率はほぼ一貫して上昇、ノートパソコンはほぼ横ばいとなっています。一方でアンドロイドのスマートフォン端末は保有率が低下傾向にあり22年では25.6%となっています。SNSの利用率ではLINEが最も高く95.8%。以下Twitterの84.2%、Instagramの80.0%、TikTokの33.0%となっており、Facebookは年々利用割合が低下し、22年はわずか7.8%となっています。
 

「若者だから」とひとくくりは禁物

 このように、今年の新成人は高校卒業後ずっとコロナ禍での生活を続けてきたことが、働くことに対する意識にも大きく影響を与えていると言えます。特に、海外はおろか、国内での移動すら難しい(国内の場合は物理的には移動は可能ですが)状況の中で、「地元に留まりたい」という意識が強くなっていると言えます。「若者だから東京など大都市圏での勤務に憧れるだろう」と考えるのは早計です。
 また、「若者はICTに強い」という印象がありますが、実際に利用しているSNSの種類は大きな偏りがあります。例えば「会社でFacebookのアカウントを持っているので、若手社員にその書き込みを任せて会社のPRにつとめたい」などと考えていても、当の社員は「私はFacebookを全く知りません」というケースも考えられます。
「若者だから」とひとくくりに考えずに、一人ひとりの考え方にあった働き方や業務を提示していく必要があるのではないでしょうか。