個人事業主として起業後、法人成り(法人化)するべきかどうか、検討している方も多いのではないでしょうか。
この記事では、法人成り(法人化)とは何か、メリット・デメリット、必要な手続きについて解説します。
法人成り(法人化)とは
法人成り(法人化)とは、個人事業主が株式会社や合同会社などの法人を設立し、その法人で事業を引き継ぐことを意味します。
個人事業主として起業後、事業規模が大きくなってきたタイミングで、法人成り(法人化)をするケースが多いです。
また、2023年10月1日から導入されるインボイス制度は、個人事業主に対する影響が大きいため、これを機に法人成りを検討する方も増えているようです。
法人成り(法人化)によって得られるメリット
個人事業主が法人成り(法人化)することで得られるメリットはいくつかあります。
ここでは、法人成りの主なメリットを3つ紹介します。
税金対策ができる
法人成り(法人化)には、税金対策ができるというメリットがあります。
個人事業主として得た事業所得には、所得税と住民税が課せられます。
所得税は累進課税のため、所得水準が高くなるほど税率が上がり、5%~45%の幅で税金がかかります。
一方で、法人成りした場合、事業所得に対して課せられる法人税は、一律23.2%です。(800万円以下の部分については15%)
法人税は累進課税ではないため、どんなに事業所得が増えたとしても、個人事業主の所得税のように30%以上の税金が課せられることはありません。
つまり、ある一定の段階を超え始めると、所得税の負担率のほうが大きくなるため、法人成りしたほうが節税になるのです。
消費税の免税を受けられる
個人事業主が消費税の課税事業者になる際に法人成り(法人化)すると、消費税の免除を受けられる点もメリットです。
詳しくは後ほど説明しますが、一定の要件を満たした場合の消費税の免除期間は最長で2年間となります。
社会的な信用を得られる
法人成り(法人化)したほうが、社会的信用を得やすくなるというメリットもあります。
個人事業主は、法人に比べるとどうしても社会的信用度が低くなってしまいます。
法人成りすることで、金融機関からの融資が受けやすくなったり、より優秀な人材を採用できるようになるかもしれません。
法人成り(法人化)にはデメリットもある?
法人成り(法人化)はメリットだけではなく、デメリットもいくつか存在します。
ここからは、法人成りで一般的にデメリットとして挙げられることを3つ紹介します。
法人設立手続きに手間と費用がかかる
法人成り(法人化)をするためには、株式会社や合同会社を設立しなければなりません。
株式会社を設立するには、最低でも約25万円(電子定款の場合は約21万円)、合同会社でも約10万円(電子定款の場合は約6万円)の費用がかかります。
会社設立にかかる期間は2週間前後で、資本金を用意したり、定款を作成したり、法務局で登記をしたりなど、さまざまな手続きが必要です。
赤字・黒字に関わらず法人住民税はかかる
個人事業主の場合、事業の業績が赤字であれば所得税や住民税の負担はかかりません。
しかし、法人に課せられる法人住民税は均等割分が発生するので、法人成り(法人化)すると赤字・黒字に関わらず税金を支払う必要があります。
社会保険への加入が必要
法人成り(法人化)をして、これまで個人事業主だった方が社長になると、従業員の有無にかかわらず、社会保険への加入が必須となります。
もちろん、従業員を雇用する場合は、従業員分の社会保険加入手続きや費用の負担も増えることになります。
法人成り(法人化)を検討するタイミングはいつ?
年間所得額800万円が一つの基準
税金対策を目的に法人成り(法人化)を検討するのであれば、年間所得額800万円が一つの基準となるでしょう。
個人事業主としての年間所得額が900万円を超えると所得税率は33%となるため、法人税率の23.2%のほうが負担は少なくて済みます。
しかし、800万円を超えた後に法人成りをしたとしても、その年の事業所得は個人事業主に課せられることになり、累進課税が適用されます。
そのため、事業の拡大を目指す個人事業主の場合は、年間所得額が500~600万円を超えたあたりから法人成りの検討を始めると良いでしょう。
インボイス制度導入前がベスト
2023年10月1日からインボイス制度が開始されると、免税事業者は適格請求書の発行ができなくなります。
しかし、取引先となる企業が仕入税額控除の適用を受けるためには、原則として、仕入先から受け取った適格請求書の保存が必須となります。
そのため、適格請求書を発行できない免税事業者は、取引が減らされる可能性があると言われているのです。
個人事業主が法人成り(法人化)するのであれば、インボイス制度導入前がベストと言えるでしょう。
また、インボイス制度導入前に法人成りすることで、消費税の免除を最長2年間受けられる場合もあります。
消費税の免除を2年間受ける場合の具体的な要件は、以下の通りです。
- 資本金1,000万円未満
- 法人設立後、1年目の6ヶ月間の課税売上高が1,000万円以下
- 法人設立後、1年目の6ヶ月間の給与等支払額の合計が1,000万円以下
- 法人設立後、1年目が短期事業年度(7ヶ月以下)
法人成り(法人化)に必要な手続き
法人成り(法人化)には、以下のような手続きが必要です。
- 1 定款を作成する
- 2 公証役場にて定款の認証を受ける
- 3 資本金の払い込みを行う
- 4 法務局にて法人登記を行う
- 5 税務署に届出をする
- 法人設立届出書
- 青色申告の承認申請書
- 給与支払い事務所等の開設届出書
- 源泉所得税の納金の特例の承認に関する申請書 など
- 6 年金事務所で社会保険加入手続きを行う
- 7 労働基準監督署・ハローワークにて労働保険への加入手続きを行う
(従業員を雇用する場合のみ) - 8 税務署に個人事業主の廃業届を提出する
- 9 資産、債権・債務などの移動を行う
- 10 取引先への挨拶、契約変更などを行う
- 11 法人名義で銀行口座を開設する
法人成りをする際は、登記をするための住所が必要です。
個人事業主のときは自宅住所で届出をしていた方も、セキュリティ面や社会的信用を考慮して、法人成りのタイミングで事業所の住所をどこにするかは検討するのがおすすめです。
最近では、登記住所の利用が可能なオフィスサービスもあるので、活用してみてはいかがでしょうか。
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法人登記・住所利用ができるプランもあるので、法人成り(法人化)を検討している個人事業主の方にもおすすめです。
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